PCで動画を再生すると、まれに音ズレや遅延が起こることがあります。
最近の動画を視聴する際には、音ズレや遅延が起こることは、まずないと思いますが、実は、この音ズレ、遅延に私は、最近注目しています。それは、動画自体に音ズレ、遅延がなくても起こる音ズレについてです。
というのは、一昔前だとイヤホンやヘッドホンは、基本的に有線しかなかったのですが、現在は、コードレスが主流になっており、特にBluetooth接続が増えています。
Bluetooth接続やその他のコードレスイヤホンも基本的に無線タイプです。
無線で通信するということは、必ず、少なからず音ズレ、遅延が発生するということです。動画を視聴する際に音ズレは、かなり気になります。
この際の音ズレとは、いわゆる遅延で、音声の方が遅れて聞こえることです。
音ズレ、遅延という現象を疑似体験する簡単な方法は、テレビで野球中継を見ているときに、AMラジオを同時につけるとはっきりわかります。
私も初めて気が付いた時は、驚いたものです。
例えば、ラジオでピッチャー振りかぶって3球目を投げました。と放送されているのに、テレビでは、まだピッチャーは、ボールを投げていません。
この理由は、テレビがデジタル放送、ラジオがアナログ放送で、デジタル放送のテレビの方は、データを圧縮して放送するために、時間がかかってしまうからだそうです。だいたい1~2秒ほど遅れるそうです。
ただ、映像も音声も同じ時間だけ遅れれば、観るのに問題はありません。だから地デジテレビを観てもなんのストレスもなく普通に視聴できるわけです。
しかしPCで動画を鑑賞する際に、ワイヤレスイヤホンを付けて動画を視聴する際に音ズレが起きるとかなり見づらいです。
そんな時に役に立つのは、音ズレ、遅延防止のための調整機能が付いている動画再生ソフトです。探してみると、フリーソフトでも結構ありました。
そんな機能を搭載したソフトとそれぞれのソフトの設定方法をご紹介します。
目次
音ズレ、遅延防止の調整機能がついた動画再生ソフト
音ズレ、遅延防止のための調整機能がついた動画再生フリーソフトには、以下のようなソフトがあります。
VLC media player(VLCメディアプレイヤー)、PotPlayer(ポットプレイヤー)、MPC-HC(メディプレイヤークラシックホームシネマ)、MPC-BEなど
※探せば、まだあると思います。
今回は、上記のソフトを使った設定方法、調整方法をご紹介します
補足事項1
音ズレ、遅延防止機能が有効な場合とそうでない場合!
今回紹介する動画再生ソフトには、音ズレ、遅延防止のための調整機能が付いていますが、この機能がより有効なのは、最初で触れたとおり、無線イヤホン等を使用する際に起きるような一定の正確なタイミングで音声が遅れる場合です。
したがって動画自体が音ズレしている場合には、あまり効果は望めない可能性が高いです。
というのは、音ズレする動画を昔、観たことがありますが、その時の記憶では、音ズレは、最初は、小さく、そして動画を視聴する時間が進むにつれて音ズレが大きくなっていました。つまり、一定の正確なタイミングで音声が遅れるわけではありません。そういう場合は、ソフト側で設定しても前半と後半で遅延の時間が違うので効果が薄いということです。
補足事項2
調整する時間の単位について!秒とms(ミリ秒)
ソフトによって調整方法や調整する時間の単位が違う場合がありますので注意が必要です。
具体的には、ソフトによって調整単位が秒数の場合とms(ミリ秒)の場合があるからです。
ちなみにms(ミリ秒)ですが、1ms=0.01秒です。
参考のために、Bluetooth接続の際、遅延に関しては、
SBCコーデックが約0.22秒=220ms、
AACコーデックが約0.12秒=120ms、
aptxコーデックが約0.07秒=70ms、
となっています。
調整する際は、その数値を参考にしてみるのもいいかもしれません。
ちなみにSBCコーデックで接続している場合は、約0.22秒の遅延があるとされているので、設定するなら、だいたい220ms(ミリ秒)となります。
それでは、設定方法を順番に紹介していきます。
VLCメディアプレイヤーの音ズレ、遅延防止機能の設定方法
VLC media playerは、非常に有名な動画再生ソフトのひとつです。
開発国はフランスです。
VLCメディアプレイヤーで遅延対策を行う方法
1、まずは、VLCメディアプレイヤーを起動します
2、次に上にあるメニューの「ツール」をクリックして、「トラックの同期化」をクリックします。
※もし上部のメニュー自体が表示されていない場合は、この図の下の図を見て下さい。
もし、VLCメディアプレイヤーの起動画面にメニューが表示されていない場合
VLCメディアプレイヤーの中央(黒い画面)で右クリックしてみて下さい。そして、次にマウスカーソルを「表示」に合わせます。次に「最小インターフェース」をクリックして、チェックを外します。
※再度クリックすると「最小インターフェース」にチェックが入り、メニューが非表示になります。
すると上部にメニューが表示されるようになります。
3、「トラックの同期化をクリック」すると「オーディオトラックの同期化」という項目がありますので、その右横の数字で音ズレ、遅延を調整できます。
VLCメディアプレイヤーでの調整の仕方
単位は、秒で設定します。
コードレスイヤホンの場合、音ズレが起きる場合、音が遅れて聞こえるので、音が早く聞こえるように設定します。VLCの場合は、「先行」に設定します。
例えば、0.22秒の遅延を解消したい場合は、以下の図のように▼で数字を調整します。
しかし▼を使って調整すると細かく調整できないので、空欄に直接「-0.22」と入力したほうがいいでしょう。
「-0.22」と入力しても「-0.220」と後に「0」が付くのは仕様のようです。
すると以下のようになり、しかも親切なことにちゃんと「先行」と表示してくれます。
この「先行」の意味は、通常よりも音の方が早く聞こえるということです。
▲を操作すると今度は、音声の方が遅く聞こえるようになり、「遅延」と表示されるようになります。遅延が起きている場合は、遅延がさらに拡大されます。
※今回入力した数値は、あくまで一例なので状況に応じて適正な数値を入力してください。
設定に関して!
一度設定しても、VLCメディアプレイヤーを終了するとリセットされてしまうので、再び遅延設定をやり直す必要があります。
ポットプレイヤーの音ズレ、遅延防止機能の設定方法
POTプレイヤーは、非常に多機能な動画再生ソフトです。
開発国は、韓国です。
Potプレイヤーでの音ズレ、遅延防止機能の設定方法
1、まずPotプレイヤーを起動します。
このソフトの場合は、0.05秒ごとの調整ができるようです。それより細かい微調整は、恐らくできないと思われます。
2、Potプレイヤーの再生画面の真ん中あたりで右クリックします。
3、まず、右クリックすることで表示されたメニューの「音声」にマウスカーソルを合わせます。次にマウスカーソルを「音声同期」に合わせます。そして遅延を解消したい場合は、「0.05秒速く」をクリックします。
便利なショートカットキーが使えます。この図の下をご覧ください!
実は、このソフトは、恐らく0.05秒ごとにしか調整できないようですが、その代わり、便利なショートカットキーが使えます!
※0.05秒ということは、50ms(ミリ秒)ごとに設定できるわけなので、それで充分かもしれません。
後で気が付きましたが、ショートカットキーを使った方が便利だと思います。
●0.05秒 速くしたい場合:
PCの「shift」キーと、ひらがなの「る」を同時に押す。押すごとに-0.05秒ごとに増えていきます。音が遅れて聞こえる遅延の場合は、こちらで調整します。
●0.05秒 遅くしたい場合:
PCの「shift」キーと、ひらがなの「ね」を同時に押す。押すごとに+0.05秒ごとに増えていきます。
●リセットしたい場合:
PCの「shift」キーと、ひらがなの「め」を同時に押します。すると±0秒になります。
※もしエラー表示が出たら、少し待つか、一度ソフトを終了してから再起動すると直ると思います。
※-の数値が大きければ大きいほど、音声が先行して流れます(音声の方が早くなります)、逆に+の数値が大きいほど、音声の遅延(遅れが)大きくなります。
補足事項!
実は、操作メニューで「音声」→「音声同期」の後に「音声同期の調整」という項目があり、この「音声同期の調整」で細かな調整ができると私は、最初、勘違いしていました。
しかし、クリックして調べてみると、こちらは、「字幕の同期調整」で、音ズレ、遅延の調整では、ないようです。
遅延防止の設定に関して!
このソフトは、非常に多機能で、ポットプレイヤーを終了させた後、遅延の数値がリセットされるように、することができますし、さらに、ポットプレイヤーを終了させても、先程設定した遅延設定の数値を保持することもできるようです。
初期設定では、上記の図のように、「終了時に音声の同期を初期化」にチェックが入っており、ポットプレイヤーを終了すると元の設定に戻ります。
しかし、その下の「常に音声の同期化を保持」にチェックを入れるとポットプレイヤーを終了しても一度設定した音声の同期に関しての数値が保持されるようです。
MPC-HCの音ズレ、遅延防止機能の設定方法
MPC-HCは、シンプルながら必要な機能を必要最低限、きちんと搭載している非常に使いやすい動画再生ソフトです。
私も個人的には、このソフトを使うことが最も多いです。
開発国:アメリカ
MPC-HCでの音ズレ、遅延の調整方法
1、まずMPC-HCを起動します。
2、MPC-HCの真ん中あたりで右クリックします。
3、新たに開いたメニューの中から「オプション」をクリックします。
※上記の図(手順2の図)で上にあるメニューの「表示」をクリックして、「オプション」をクリックしても同じことです。
4、「オプション」の画面が表示されますので、左側のメニューの「音声切り替え」をクリックします。
もし「音声切り替え」という項目がない場合は、「内部フィルタ」の左横の▼をクリックして展開して下さい。
5、「音声切り替え」の画面が表示されます。
まず、「音声のタイムシフト」にチェックを入れます。
このソフトの調整単位は、ミリ秒(ms)です。
今回も例として、0.22秒の遅延を修正してみます。
0.22秒は、220ms(ミリ秒)なので空欄に「-220」と入力します。
※今回入力した数値は、あくまで一例なので状況に応じて適正な数値を入力してください。
入力が終わったら「OK」をクリックします。
※このソフトの場合も「-」の数値を入力すれば、音の方が先行して、「+」の数値を入力すると遅延が起こります。そのため音ズレ(遅延)の場合は、-の数値を入力することになります。
設定に関して!
このソフトは、ソフトを終了させても先程調整した数値が記憶されています。
そのため再び、設定する必要はありません。
しかし音ズレ、遅延がない動画を視聴する際は、先程の調整画面で「音声のタイムシフト」のチェックを外して「OK」をクリックして設定を反映させる必要があります。つまり元の設定に戻す必要があります。
そうしないと通常の動画では、今度は、音の方が早く聞こえます。
また余談ですが、先程入力した数値を削除したい場合は、入力欄に「0」と入力して下さい。完全に数字を削除して空欄にして、「音声のタイムシフト」のチェックを外して「OK」をクリックすると、エラー表示が出る場合があります。
MPC-BEの音ズレ、遅延防止機能の設定方法
MPC-HCの事実上後継となる動画再生ソフトで、使いやすさと性能は周知のとおりです!
開発国:アメリカ
MPC-BEでの音ズレ、遅延の調整の仕方
1、まずMPC-BEを起動します。
2、MPC-BEの画面の中央あたりで右クリックします。
3、右クリックして新たに表示されるメニューのなかの「オプション」をクリックします。
※上記の図(手順2の図)で、上にあるメニューの「表示」をクリックして「オプション」をクリックしても同じことです。
4、オプション画面の左側のメニューの「サウンドプロセッシング」をクリックします。
もし、「サウンドプロセッシング」という項目がない場合は、「音声」の左横にある▼をクリックして展開して下さい。
5、「サウンドプロセッシング」の画面が表示されますので、「音声のタイムシフト」にチェックを入れます。
調整単位は、ミリ秒(ms)です。
例として、0.22秒の遅延(音の遅れ)を解消したい場合の設定では、0.22秒は、220ミリ秒(ms)なので、「-220」と入力します。
音の方を早くしたい場合は、-の数値を、音の方を遅くしたい場合は、+の数値を入力します。遅延は、音が遅れることなので、通常は、-の数値を入力する場合が多いです。
※今回入力した数値は、あくまで一例なので状況に応じて適正な数値を入力してください。
数値の入力が終わったら「OK」をクリックして設定を反映させます。
設定に関して!
MPC-BEに関しては、ソフトを終了させても先程調整した数値が記憶されています。
そのため再び、設定する必要はありません。
しかし先程紹介したMPC-HCと同様に、音ズレ、遅延がない動画を視聴する際は、先程の調整画面で「音声のタイムシフト」のチェックを外して「OK」をクリックして設定を反映させる必要があります。つまり元の設定に戻す必要があります。
そうしないと通常の動画では、今度は、音の方が早く聞こえてしまいます。
MPC-HCと違い、MPC-BEでは、数字の入力欄で完全に数字を削除して空欄にして「音声のタイムシフトのチェック」を外して「OK」をクリックしてもエラー表示は出ませんでした。
「音声のタイムシフト」の数字を完全に削除して、空欄にしても再起動して確認すると自動的に「音声のタイムシフト」の数値が「0」に戻っていました。後継ソフトのため改善されているようです。
まとめ
今回は、音ズレ、遅延防止のための調整機能がついた動画再生ソフトをご紹介しましたが、こういう記事を書くたびにいつも思うことは、こういうデジタル・IT分野では、残念ながら日本は苦戦しているような気がします。
もっとデジタル・IT分野での活躍を後押しする補助制度などを活発に行ってほしいと思います。
日本の技術力があれば、PCやスマートフォンのOSを作る技術だってあるはずだと思うのですが・・・
また、日本独自の優れた検索エンジンを開発する技術だってあると思います。